女性が「精神的、肉体的に急激に変化している」と自分で自覚するのは、40歳前後からだと言われています。
仮に、26、7歳で結婚して28、9歳で出産を経験したとします。
ちょうどその子どもが中学生、いわゆる思春期特有の意識をもち始めるころ、母親は40代に達して子育てのターニングポイントを迎えることになります。
子どもがある程度成長してくると、急に自分が歳をとったような気がします。
そろそろ体型も気になりますし、肌の変化ももうごまかしがきかなくなる年齢です。
いわゆる「若いフリ」ができなくなる年代とも言えます。
均整のとれたボディ、手入れの行き届いたヘアスタイルのモデルならいざ知らず、あるいは20代のように「若さだけ」で何でもカバーできる年代ならば、いつも同じようなシンプルな装いで自分を主張できるでしょうが、40歳になったら、洋服や小物に助けてもらうほうがラクにおしゃれを楽しむことができます。
例えば革のピチッとしたパンツやスカートをシンプルに着こなすのは難しいけれど、そこに柄物のストールをプラスする、さらにストールの中の一色と同じバッグを持つほうがステキに見えるということです。
また、私たちはいろいろな社会的グループに属して暮らしています。
ビジネスマンの奥さんとして○○氏夫人と呼ばれることもあれば、子供の学校では○○ちゃんのママだし、学生時代の友達とおしゃべりするときは、お互いに当時のニックネームで盛り上がることもあるでしょう。
あるグループに属していると、知らず知らずのうちに「らしさ」が身についてきます。
母親らしい服装、ヘアスタイル、持ち物に「らしさ」というものがあり、そうしたものに囲まれていると「いかにもお母さん然とした」態度や言葉遣いになってしまいます。
それはそれで必要なことですが、たまにはそうした属性を全部捨てて、ひとりの女として勝負してみることをおすすめします。
例えば、いつもと違った装いで、ひとりで出かけてみる、ひとりでコーヒーショップに入り、ひとりの時間を存分に味わう、など。
そのとき、帰りにスーパーに寄って夕飯の買い物をすませようなどとは考えないことです。
外国の街角で見かける年齢不詳のいい女は、たいていひとりで行動しています。
結婚しているのか、子どもがいるのかはわからないけれど、歩き方にも話し方にも落ち着きがあり、どことなくミステリアス。
それがエレガントな雰囲気を醸し出しているのです。
外国では初対面で「マダム?」と声をかけるのは相手に敬意を表するエチケット、みんな若いうちから背伸びして、一人前の女性として受け入れられるよう努力しているのです。
同じような服装をして、同じような立場や環境の人といっしょにいれば安心でしょう。
でも、それではどんどん所帯じみてしまいます。
おしゃれとは所帯臭さの対極にあるものです。
人と群れない、孤高になる勇気をもたなければ、緊張感のある美しさは出せません。
そんな、本気で自分の今後を考える大人のおしゃれについて、日ごろ感じていることをまとめてみました。
まず、おしゃれには何よりも好奇心が大切だと思います。
生き方に好奇心がないと、ファッションにも気持ちが向いてこないと言えます。
逆におしゃれに意欲を失い「着るものなんてどうでもいいじゃない」と思うのは、生きる好奇心を失ったことを意味します。
生きている間は、おしゃれをすることから下りてしまってはいけません。
好奇心のある人生、好奇心のある生き方をしたいと思うことの中に、見ること、聞くこと、装うことがふくまれています。
それは、何だろう?と対象に興味をもっていくエネルギーであり、考え方なのです。
おしゃれに関してもうひとつ、すべての女性は実年齢を数えないという考え方を私は提案します。
髪の毛の感触や女性ホルモンのことなどを考えると、大人の女性のいちばん若いところが39歳、ここを〃大人の女の出発点″と見なそうということです。
私のファッション年齢はいつまでも39歳!おしゃれのセンスを磨く自分で「もう40歳だわ」と思うようになったら、おしゃれの意識だけでなく生き方全般が変わってしまいそうです。
だから、いくつになっても気持ちは39歳です。
五十歳になっても六十歳になっても「私は39歳よ」と思い込んで暮らしましょう。
好奇心をもつこと、そして39歳から先を意識しないこと、これが女性としておしゃれをしていくことの基本だと思います。
実年齢に関係なくおしゃれを楽しもうとしたら、群れてはいけません。
群れの中にいたらひとりだけ浮いている存在になってしまうからです。
同世代と群れることなく、孤高を保ちながら、自分を若々しく保つという認識をどうやってもつかということが、おしゃれには大切です。
私はなるべく年上の女性、自分の母親とか叔母など20歳以上歳の離れた人と自分を比較するようにしています。
そうすればいつまでも自分は若いと感じられます。
下を見て自分が若いと感じるには無理がありますから、年上の元気な女性を見て、その人たちよりも若いと意識することにしているのです。
「この売場は母親世代の人が多いわ、私はもっと若い人たちの店で買えばいいんだわ」ということになり、相対的に自分のポジションをどこに置くかがはっきりします。
今からミセスファッションになってしまったら、あと30年以上も同じものを着ていなければなりません。
人生はまだ半分なのですから、少なくとも20年たったら真似しようぐらいに思えばいいのです。
そんなふうに思ったうえで若い人たちの店に行くと「もしかしたら、今がこの店で買うラストチャンスかもしれない。だったら思い切って着よう」という意欲が湧くのです。
来年も再来年も同じ気持ちで「思い切って着よう!」と言い続けたいと私は思っています。
さらに、私自身がいつもイキイキしていられるのは、流行のものを見て、それを実際に自分で着ているからだと言えます。
たとえスカート一枚でも、トレンドをとり入れる。
ただし私たち世代は、すでにいろいろなおしゃれを体験しているのですから、それなりの引き出しの開け方、組み合わせ方、情報のつなぎ方を大事にしたいですね。
すでに持っている洋服を生かすために、必ず何か新しいものを買う。
それが歳を重ねた良さだと思います。
トレンドを意識するといっても、「ブランドものを買わなくちゃ」とか「誰かの言うことを真似なくちゃ」というような情報に振り回された、20代、30代のようなとり入れ方とは違います。
最後は自分でディレクション(方向づけ)しなければならないのです。
何かを人に決めてもらおうとしてはダメです。
何となく肌がくすんで顔色が悪く見えるし、体重は変わらないのに、ウエストまわりに賛肉(脂肪)がついて確実に体型が変わってきているのが私たちの年代です。
歩くときも立っているときも姿勢が悪くなった自分の身体の変化を見つめ直す。
40歳前後という年齢は自分の身体が若いころとどのように変わってきたのか、冷静に見つめる時期です。
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